感動って科学できるの?スタジアムで“心が震える瞬間”を考えてみた
こんにちは!!営業の笹本です!!
今日はちょっといつもと違うテーマで書いてみます。
タイトルは「感動って科学できるの?」です。
息子が“心を震わせた”日
ある週末、中学3年の息子を連れてJリーグの試合を観に行きました。
正直、息子はあまり乗り気ではありません。
「サッカーってそんなにおもしろい?」という感じで、完全に冷めモード。
何度も誘うので、仕方なくついてきてくれた感じでした。
試合は「セレッソ大阪 vs 鹿島アントラーズ」。
0−0のまま迎えた後半アディショナルタイム、最後のプレーでセレッソが劇的な勝ち越しゴール!!
その瞬間、スタジアムが地鳴りのような歓声で揺れました。
目の前の景色が震えて、体の奥まで響くような音の波。
息子も一瞬、呆然としていましたが、帰りの電車で
「スポーツの感動って、すごいんやな…」とぽつり。
それ以来、息子はすっかりサッカー観戦にハマり、今シーズンだけで3試合ほど観に行きました。
大阪ダービーで涙目になったり、日本代表戦で国歌斉唱に胸を打たれたり。
勝っても負けても、心が大きく動く時間がそこにはあるんだなと感じました。

感動って、何であんなに強烈なんだろう?
あの「心が震える」瞬間って、いったい何が起きてるんでしょうか?
誰かが登場しただけで空気が変わる、スタジアム全体が一つになる——
あれはただの気のせいじゃなく、実は科学的にも説明されつつあります。

科学が見つけ始めた「感動のしくみ」
例えば、コンサートの観客を調べた研究では、演奏が盛り上がる瞬間に観客同士の心拍数や皮膚電気反応が同期することが確認されています。
つまり、みんなの体が同じように反応しているんです。
脳波の研究でも、快感や共感を感じる部分が他の観客と同じタイミングで反応していたというデータがあります。
音楽、照明、空気、歓声——そのすべてが重なり、まるで“心の周波数”が合うように感情が共鳴する。
ライブやスタジアムって、まさに人間の同期装置なんですよね。
感動を分解してみると…
感動を科学的に分けると、こんな構成になりそうです。
- 予想とのギャップ:思いもよらない展開や劇的な勝利
- 情動の揺れ:歓喜・緊張・涙といった心の振幅
- 身体反応:心拍、呼吸、鳥肌などの変化
- 共鳴・同期:観客同士が感情を伝染させる
- 記憶・物語化:あとから何度も思い返したくなる余韻
息子が感じたあの試合の感動は、このすべてが一気に噴き出した瞬間だったんでしょう。
3万人が同時に立ち上がり、同時に叫び、同時に涙する——
それってもう、人と人が“心の信号”を共有している瞬間ですよね。

ITの時代、感動を「見える化」できるか?
テクノロジーが進化した今、この“見えない感情”を少しずつ「可視化」しようという研究も始まっています。
- 皮膚電気反応(GSR)
- 心拍変動(HRV)
- 脳活動の変化(fNIRSやEEG)
これらを使えば、人がどの瞬間に最も心を動かされたかをデータとして測定できます。
音楽のサビや、試合のクライマックスで数値が跳ね上がることもあるそうです。
もしかすると近い将来、観客全体の「感動ヒートマップ」がリアルタイムで見える——そんな時代が来るかもしれません。
でも、すべてをデータにしてしまっていいのか?
一方で、僕はこうも思います。
感動って、数値やグラフで測れたとしても、それが“感動の本質”じゃない気がするんです。
息子にとって、あの試合はただの勝ち試合じゃなく、
“初めて親と一緒に心を震わせた体験”でした。
その背景にある「誰と観たか」「どんな気持ちだったか」は、AIにもセンサーにも測れません。
だからこそ、感動は尊い。
そして、そこに人間らしさがある。

まとめ:テクノロジーで解明したい、でも解明なんかしたくない
僕たちはITの力で、業務やデータを「見える化」してきました。
効率化や最適化、分析によって課題を明確にすることが、仕事の基本です。
でも、スタジアムで感じたあの地鳴りのような歓声や、息子が見せたあの表情を前にすると、
「この感動だけは、まだ“見えないままでいい”」と思ってしまいます。
たとえAIやセンサーで人の感情を解析できるようになっても、本当の感動はきっとデータでは測れません。
むしろ、その“測れない部分”こそが人間らしさなんだと思います。
ITもAIも、使い方次第で人の心を動かす力になります。
だからこそ、いつか感動をテクノロジーで少しでも解き明かしてみたい。
でも同時に、ただ純粋に「うわ、すごい!」と心が震える瞬間を、そのまま大事にしていきたい——そんな気持ちです。

参考リンク(海外の研究をもとにした資料です)
以下は、今回のテーマ「感動を科学できるのか?」に関連する海外の研究論文です。
いずれも心理学・神経科学の分野で実際に行われた研究で、「感情の同期」や「音楽・スポーツでの一体感」をデータで示したものです。
※ すべて英語のサイトですが、ページを開いたあと右クリックで「日本語に翻訳」などを選ぶと内容をざっくり読むことができます。
難しい言葉もありますが、ざっと読むだけでも“科学的に感動を捉えようとしている”研究の雰囲気が伝わると思います。
1. Concert Audience Synchrony Study(Nature Scientific Reports)
イギリスの研究チームによる実験で、クラシック音楽コンサート中の観客の心拍や皮膚電気反応が同期することを発見。
演奏の盛り上がり部分では、観客同士の生理反応が同時に変化していました。
つまり「感動を共有する」とは、身体レベルでも“同じ反応をしている”ということ。
まさに感情の共鳴を科学的に捉えた研究です。
▶ 論文を読む(Nature Scientific Reports)
2. Emotional Contagion and Music(Frontiers in Psychology)
音楽を通して起こる「感情の伝染(Emotional Contagion)」をテーマにした心理学研究。
人は他人の表情や声のトーン、音楽のテンポなどを無意識に“まね”し、
その結果として自分の感情も変化していくことが分かっています。
ライブやスポーツ観戦で「周りの盛り上がりにつられて自分も熱くなる」——あの現象を科学的に説明したものです。
▶ 論文を読む(Frontiers in Psychology)
3. Group Synchronization in Live Performances(PMC)
音楽ライブ中に起こるグループ同期現象(Group Synchrony)を調べた研究です。
観客同士や演者との間で、心拍・動作・皮膚反応などがどの程度一致しているかを分析。
人々が“同じ瞬間を共有している”感覚の裏に、実際の生理的な同期が存在することを示しています。
スポーツ観戦やフェスなどにも通じる「一体感」の根拠を示すデータです。
▶ 論文を読む(PMC)
4. Emotional Response in Music Performance(PMC)
音楽演奏中に観客と演者の身体や脳がどう反応しているかを測定した研究。
曲の転調やサビなど、“感情のピーク”で皮膚電気反応(GSR)や心拍が一斉に上昇することが確認されています。
この結果から、「感動の瞬間」には人間の生理反応が自然と同期していることが示されています。
▶ 論文を読む(PMC)
このように、世界では「感動」や「共鳴」を科学的に測ろうとする研究が少しずつ増えています。
でも、どの論文の結論にも共通しているのは——
「感動はデータで説明できても、すべてを数字で語ることはできない」ということ。
テクノロジーが進んでも、心が震える瞬間には“人間らしさ”がちゃんと残っている。
それを感じさせてくれる研究たちです。




