AI時代の”敬語”
こんにちは。ソリューションSecの高橋です。
先日、技術系のラジオで面白い話題がありました。
メールを書く側もAI、読む側もAI。
それなら、挨拶って本当に必要なの?
雑談トークでしたが、意外な説得力がありました。
電報の時代、コストは文字数だった
少し歴史をさかのぼってみます。かつての電報では、文字数や語数で料金が決まりました。だから人々は、意味が通じる範囲で言葉を削りました。
通常の文
本日、無事に到着いたしました。ご安心くださいませ。
電報の文
ブジトウチャク アンシンコウ
礼儀を軽んじたわけではなく、通信手段そのものに「文字数=お金」というコストがあったからこその文体です。
AI時代のコストは、トークンと電気
OpenAIのSam Altman氏が、Xでこんなやり取りをしていました。あるユーザーが「ChatGPTに please や thank you と送ることで、OpenAIはどれくらい電気代を失っているんだろう?」と問うと、Altman氏は「数千万ドル分の、価値ある出費だよ」と返したのです。
厳密な計算ではないにせよ、「丁寧な言葉も処理コストを使っている」という視点には、新鮮なものがあります。
参考リンク
- Sam Altman氏のX投稿
- PC Watch「ChatGPTに『ありがとう』と送るとOpenAIに数千万ドルのコスト」
- GIGAZINE「ChatGPTに『ありがとう』と言うだけでOpenAIは数千万ドルのコストを支払っている」
削られる「お世話になっております」
受け手がAIで要約してから内容だけを読むなら、「お世話になっております」や「何卒よろしくお願いいたします」は、ほぼ間違いなく削られます。
つまり、こういう構図です。
📝 書き手が、AIで文章をふくらませる
📨 メールがネットワークを流れる
✂️ 受け手が、AIで丁寧さを削ぎ落とす
この往復のすべてに、計算資源とトークンが使われています。
同じ内容、ふたつの書き方
❶ 従来のビジネスメール
お世話になっております。
先日ご相談させていただいた件につきまして、確認が完了いたしましたのでご連絡いたします。
結論としては、A案で進める方針で問題ございません。
お忙しいところ恐縮ですが、ご確認のほどよろしくお願いいたします。
❷ AIに読ませやすい構造化メール
件名:A案で進行可能
結論:A案で進めて問題ありません。
依頼:内容確認をお願いします。
期限:5月15日まで。
❷はそっけなく、無礼に感じる人もいるかもしれません。でも、情報の伝達効率という意味では優れています。
新しい礼儀のかたち
もしかしたら近い将来、こんな価値観が広がるかもしれません。
挨拶や定型句よりも、
「結論」「依頼」「期限」を明確に書くことが、
新しい思いやり。
「相手(とそのAI)にトークンを使わせない」ことが、思いやりとして評価されるのでは?ということです。
もちろん、これはラジオの雑談での想像にすぎません。でも、日本語として正しいかどうかより、電気代や計算資源というコストの観点から文体を考える視点は、新鮮に感じました。
電報の時代に「ブジトウチャク」と書いた人たちも、最初は違和感があったと思います。AIに最適化された文体も、案外すぐに当たり前になるのかもしれません。
あなたがAIに読ませる前提で書くなら、どんな文体を選びますか?




